若葉句会 10月の開催報告

秋の季語。探す間もなく、冬隣りの日々となりました。半袖を仕舞いジャンパーを片手に、吟行(青空の下での句会)たけなわの季節です。

若葉会でも、来月には九品仏で年一回の吟行が行われます。それでは10月の選句・講評を、報告させて頂きます。

俳号・博二

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第二百三十六回若葉句会 令和七年十月十一日(土)   

場所 洗足池区民センター

兼題  冬隣、案山子、紅葉  席題  秋の蝶

                   捷三郎選

【特選】

冬隣り輝き増すや赤提灯         伸郎

そろそろ寒いなあと思う頃、赤提灯が目に入る。暑いころは気が付かなかったのが、その魅力を増したためか光が増したように見える。赤提灯の存在感に気づいた感受性がうれしい。

蜘蛛の糸紅葉一葉絡めとり        伸郎

 蜘蛛の巣に紅葉が一ひら絡まっている。本来は余計な獲物だが、その美しさに蜘蛛が惹かれて取り込んだものと解釈した。粋な感覚である。

◎泥濘(ぬかるみ)に真紅を競ふ散り紅葉  勝美

 紅葉がぬかるみに落ちたがその真っ赤な美を競っている。泥の中で美しい散紅葉。その対照の美によく眼をとめた。なお、(ぬかるみ)というフリガナは不要ではないか。

【選】

〇ふる里に寄る辺なき身の捨て案山子    旧雨

〇木道の空までつづく草紅葉        雅雄

〇過疎村の案山子のアート村興し      雅雄

〇黒々とのの字のの字の案山子かな     伸郎

〇紅葉待つ異常気象の里帰り        博二

〇破れ芭蕉音の絶えゐし製材所       勝美

〇河童橋山嶺白しまゆみの実        雅雄

〇秋の日の洗足池に声黄色         博二

〇産土(うぶすな)の頬にさやけし盆の風  勝美

〇公園で銀杏の音足止める         光敏  (前月分追加)

〇草原を遮るもの無し秋の蝶        博二

〇秋の蝶囲む園児の手を抜ける       伸郎

〇秋深し母の祥月時薬(ときぐすり)    旧雨

〇田んぼ道案内板の案山子かな       光敏

<選者詠>

急がせて窓の修理や冬隣 

烏二羽案山子の肩をつひばみぬ

紅葉する秋川合同ハイキング

銀漢もいつか落ちると婆の言う

手に残る肩の温もり赤蜻蛉

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次回は十一月八日(土) 吟行

集合:午前十一時東急大井町線九品仏駅改札口、

句会は午後二時大田区立消費者生活センター(JR京浜東北線蒲田駅五分)

兼題は無し。当日の嘱目を生かして五句  なお、昼食は臨機応変の予定です。

以上