港・大田稲門会合同「わかば句会」開催報告

早いもので年納め。年内最後の今月は、蒲田駅近くの大田区立消費者生活センターにて行われ、「良いお年で」との挨拶言葉で、無事に締めくくることが出来ました。

それでは12月の吟行・句会の選句・講評を、報告させて頂きます。

俳号・博二

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第二百三十八回若葉句会 令和七年十二月六日(土)  

場所 蒲田生活消費者センター

兼題  柚子湯、霜柱、山茶花   

捷三郎選

【特選】

◎たまゆらの命の果ての根深汁       旧雨

年老いて顧みると短く果敢ない己の人生を必死に生きてきた。そこで今熱い根深汁に救われようとしている。玉響から根深汁まで思いの籠った秀句である。

◎鈍牛がひたぶる踏むや霜柱        旧雨

鈍牛は己のこと。なんの役に立つのか知らず霜柱をせっせと踏みつぶしている。そんなことしながら生きてきた。いいではないかという開き直りがある。

◎山茶花や件(くだん)のことは話しかね  旧雨

言おうと思っていたことを言えないまま別れた。山茶花が咲き、散っていた。よくあることだがどうも気になる。山茶花に気を取られたせいにしておこうなどあれこれと思わせる。

【選】

〇冬至湯の仄か色香やバスクリン      勝美

〇老ひとり思いにふける柚子湯かな     光敏

〇子供らが逆上がりして冬の空       光敏

〇善人たらむひとときの冬日和       勝美

〇妻待てば寒夕星のひかり初(そ)む    勝美

〇庭下駄の足跡しかと霜柱         雅雄

〇霜柱踏みつつ向かう試験場        博二

〇山茶花の散り敷く夜辺(よべ)の訃報かな 勝美  

〇冬晴れの計り知れなき蒼さかな      勝美

〇冬晴れに凛とそびえる富士の山      秀三

〇燗酒を頬づえつきて待つ間かな      旧雨

<選者詠>  

帰りなん柚子湯の待てる我が庵

味良きは大間の鮪口奢る

塩引きの鮭が御馳走山育ち

山茶花のホロリと散りし黒き土

冬晴れの句会今年も納めけり

珍しくなりて取り置く霜柱                      

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次回  一月二十五日(土) 午後二時 洗足池区民センター

兼題  門松、年賀、初天神 

投句は兼題にて三句のほか新年雑詠二句、合計五句をご用意ください。