港稲門会公式行事報告Vol.2 在日ウクライナ避難者支援講演会
支援講演会の会場は、港区立産業振興センター(札ノ辻スクエア)の大ホール。今年4月にオープンしたばかりのビルで3階4階は三田図書館、11階のホールは定員280名で最新の付帯設備を有している。
参加者は会員とその同伴者たちほか、早稲田大学総長室社会連携課長 平野真さんが来賓として出席。また、早稲田大学ボランティアセンターから早稲田大学が受け入れたウクライナからの避難学生3名とウクライナ交流支援学生ボランティア3名、一般学生2名が参加した。
講演は、まず西垣孝一さんがロシア侵攻前のウクライナで実感した「10のエピソード」でスタート。 侵攻以前のウクライナ人の日常生活がよく伝わった。
ウクライナ人の寿司好きに関して、在日ウクライナ大使の独自統計に基づく「世界寿司好きの国ランキングではウクライナは日本に次ぐ2位」というお話が会場の笑いを誘った。KARAOKEやアニメ好き、日本関連図書の豊富さなど日本文化へのリスペクトが伝わるが、西垣さんが現地で実際聞いた日本への称賛と敬意の理由は、●日露戦争の勝利 ●戦後復興と高度経済成長 ●東日本大震災後の整然とした行動だという。
続いてNPO日本ウクライナ友好協会KRAIANY理事イェブトゥシュク・イーゴルさんが「ウクライナ人の生の声 母国の過去・現在・未来」というテーマで講演。
簡潔で読みやすいパワーポイントとイーゴルさんの驚くほど流暢な日本語が聴衆を引き込んだ。「昨日、11月26日はウクライナ人にとって歴史的に最も残酷な出来事があった日です」1932年から33年に起こったホロドモールと呼ばれる政治の絡んだ凄まじい食糧危機である。ウクライナ語で飢饉を意味するホロドと絶滅や抹殺を意味するモルとの造語で「飢餓による殺害」を意味する。その後の独立戦争、オレンジ革命、マイダン革命などイーゴルさんの冷静沈着で的確な過去の歴史説明が聴衆の胸を打った。
そして、2月24日のロシア侵攻。イーゴルさんのNPOでは、日本在住のウクライナ人サポートと合わせて、本国への支援物資調達を行っている。今ウクライナで必要なものは止血帯や胸に貼って止血するチェストシール。「5000円の止血帯があれば命が一つ救える」のだという。
最後にイーゴルさんが語る未来は「ウクライナはIT大国になります!」力強い言葉だった。
イーゴルさんが作った講演資料です。
ウクライナの過去・現在の活動などわかりやすく書かれています。ご一読ください。
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休憩を挟んで、在日ウクライナチームによるパフォーマンス。
フォーマンスの参加者は、ウクライナ日曜学校生徒、在日ウクライナ人、そして避難者たち。
ウクライナに伝わる伝統音楽の中から「決して諦めない」をテーマに、合唱・独唱・ダンスを披露した。中でも映画『ホームアローン』で使われ私たちにも聞き覚えのある曲『キャロル・オブ・ザ・ベル』は、今でも最もよく歌われるクリスマスソングの一つで、喜びに満ちた明るいメロディーが印象的であった。
最後は出演者全員でウクライナ国歌の斉唱。聞いている私たちも身の引き締まる思いであった。
イーゴルさんから参加者へのメーセージは以下の通り。
1. ボルシチはウクライナ料理です。
2. ウクライナ語の「ありがとう」 は 「デャークユ!」
3. 平和は努力
終了後、イーゴルさんに挨拶をする早稲田の避難学生たち。日本での生活の心強い味方になるであろう。
文:川崎(桜井)郁子