若葉句会 11月の開催報告
晴天に恵まれた吟行。久々に行われた今年の吟行は、九品仏の散策という洒落た企画により新鮮な感性が蘇り、明日への活力も充足されたのではないでしょうか。
それでは11月の吟行・句会の選句・講評を、報告させて頂きます。
俳号・博二
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第二百三十七回若葉句会 令和七年十一月八日(土)
吟行 九品仏 句会 蒲田消費者センター 兼題 無し 一人五句投句
捷三郎選
【特選】
◎三途の川仮りに渡りて冬に入る 雅雄
九品仏の境内に閻魔様のお堂があり、そこへ行くのに枯れた三途の川と名付けられた小川がある。小川は本当に小さく、かわいらしい。これを渡ってみたのだ。中七の仮にが傑作。
◎賽銭を入れれば御託天高し 朋子
前の句の閻魔様は賽銭を入れると説教をはじめて口は禍の元うそを言うななどと仰せになる。それが面白くて人気があるようだ。御託を聞かされて、と思うのは修行が足りないか。
◎果て知らぬ残生にあり冬木立 雅雄
此処の境内にはあまり目立たないが何百年になるかという大木が何本もある。まだまだ生き続けるであろう木立に人間のわが身を比べて残生と言った。格調の高い句になった。
【選】
〇猫じゃらし寺に棲む猫じゃらかせり 朋子
〇飼主と犬が相似る冬日かな 旧雨
〇九品仏踏切越せば冬木立 雅雄
〇新海苔が届いて弾む奥の妻 博二
〇銀杏の枝もたわわに浄真寺 朋子
〇ものを言う閻魔や小春の九品仏 旧雨
〇散り敷いて香りしめやか銀杏の実 雅雄
〇都井岬馬の群れにも秋深し 博二
〇豆腐屋の湯気のあがりし冬の午後 旧雨
〇立冬やテレビ無音の診療所 伸郎
<選者詠>
元の木の匂いそのまま落ち葉かな
録音の閻魔の諭し紅葉下
九等のランクに分かる冬仏
まだ薄き朱の色愛でて紅葉狩
大銀杏黄も緑も秋の朝
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次回 十二月六日(土) 午後二時 大田区立消費者生活センター(JR京浜東北線蒲田駅五分)
兼題 山茶花、柚(ゆず)湯、霜柱
投句は兼題にて三句のほか冬季雑詠二句、合計五句をご用意ください。
以上


