大田・港合同部会「わかば句会」報告
春うらら。大自然とともに生活に溶け込む俳句の世界にとって、新たな感性を躍らせる季節になりました。
4月の例会は、そんな長閑(のどか)な日曜日に、新緑に囲まれる大田区の洗足区民センターで、大田・港稲門会合同で和気あいあいと行われました。大田稲門会の俳号・捷三郎選者による4月の句会の作品を掲載させて頂きます。ぜひ今度は、港稲門会の新しい皆様とともに、楽しい句会を開きたいと願っています。 報告:南村博二
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第二百三十回若葉句会 令和七年四月二十七日(日)
(兼題) 磯焚火、花の雨、猫の恋 (席題) 鼓草
特選句 捷三郎選
◎白髪もピアスも笑う磯焚火 雅雄
海岸の焚火に賑やかな笑声が上がる。潜って鮑を取るのが生業のたくましい女性たち。中に白髪あり、ピアスをする若い人もいる。白髪にピアスを対した妙がうまい。
◎無残なり屋台閉めさす花の雨 伸郎
中七までは次の予想が出来かねているところ、屋台を閉じねばならなかったのは花の季節の雨であった。とかく柔らかななどいう向きが多い中、別角度からの見方を供したお手柄。
◎花冷えや燈油半缶買いに行く 伸郎
やっと暖かくなった頃急に冷え込むことがある。それもいつまで続くやら。ちょうど無くなった灯油も半缶あれば足りそうだ。半缶に生活感が出ている。そういえば蕪村に「葱(ねぶか)買うて枯れ木の中を帰りけり」を思い出した。共に絵になる。
入選句
〇たくましき臀部が囲む磯焚火 伸郎
〇兄眠る小さき丸石花の雨 雅雄
〇やはらかな夜の気配や猫の恋 朋子
〇知りたきは猫の恋路の行くへかな 勝美
〇日々通う陽だまり奥の鼓草 博二
〇風に乗る綿毛に夢や鼓草 雅雄
〇春風や言葉にできぬあれやこれ 朋子
〇朧夜の人形夢を見てゐたり 朋子
〇歩を刻む幼の背なに桜東風 勝美
〇シーズンだ子リス飛び出す春ゴルフ 光敏
(選者吟)
もう一度潜って来よう磯焚火、花の雨西行の墓覆ひけり、猫の恋今年も来るか大黒ブチ、
鼓草何時飛んで来て庭に咲く、日暮れ刻山藤少し目立ちたり、大仏へ行く人迎ふサツキかな
次回の句会は、七年五月三十一日(土)午後二時、洗足池区民センター
兼題は 五月、雨蛙、麦の秋の三題と雑詠二句、合計五句ご用意ください。