若葉句会報告 5月
初夏の装い。心も体も、家の中から外へ向かう季節が本番となり、早まる夏日と涼しさの戻りが交差する月になりました。5月の 「わかば句会」 は、大田稲門会から新人一人が加わり、新鮮かつ意欲的な句会が月末の5月31日に洗足区民センターで催されました。
当日は同人誌 「若葉俳句第21号」 の打ち合わせも行われ、本年9月刊行に向け原稿の分担が話し合われました。これからの新人の方も先輩が親切に教えて下さいます。来月は港稲門会からも、新しい方や再参加の方を、お待ち致しております。
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第二百三十一回若葉句会 令和七年五月三十一日(土) 場所 洗足池区民センター
兼題 五月、雨蛙、麦の秋 席題 雨
捷三郎選
<特選>
◎泣き虫の道草に追ふ雨蛙 雅雄
小学校の帰りだろうか、いつもの泣き虫の子が雨蛙を追いかけて道草をしている。小さな雨蛙だからこそであり、この子を見つめる人のまなざしが優しい。
◎梅雨寒やシャツ二枚着てやり過ごす 伸郎
梅雨のさなか、今日は寒いけど、冬物はもう仕舞ったし、シャツをもう一枚着てやり過ごせばよい。どうせすぐ暑くなる。生活感旺盛な句だ。
◎渾身の一二三歩雨蛙 勝美
雨蛙が小さな体を引きずって歩いている。渾身の力で。けなげで、プライドもある雨蛙であったのだろう。上五の渾身のが、雨蛙に寄せる共感を強めている。
<入選>
○河骨の金鈴揺らす瀬音かな 雅雄
〇田植待つばかりの代田浮かぶ月 勝美
〇ジーンズの膝擦り切れて街薄暑 勝美
〇赤白のバラのトンネル立ち止まる 光敏
〇今日もまた入るか入らぬか梅雨予報 伸郎
〇黄金の波立ち騒ぐ麦の秋 勝美
〇学び舎も廃校となり麦の秋 雅雄
〇雨蛙寒暖の差に身がまえる 秀三
〇五月晴れ杖つく日課今日も行く 光敏
〇新教皇白煙に乗り聖五月 雅雄
〇反り橋の反り嫋やかや聖五月 勝美
〇雨の日は予定変更録画見る 秀三
〇夏服をスーツケースに成田飛ぶ 博二
<選者詠>
雨蛙乾いた空を見上げをり
未練無く去ってゆく友五月尽
麦の秋思い出さるる安二郎
雨乞ひも名物となる観光地
青梅は葉の色に溶け隠れけり
沼津沖はるかに白き卯波立つ
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次回の句会 令和七年六月十四日(土)午後二時、 洗足池区民センター
兼題 風薫る、蛍、夏の星、の三題と雑詠二句、合計五句ご用意ください。以上
報告:南村博二(俳号 博二)