スポーツ科学学術院教授でスポーツ振興・オリンピック・パラリンピック事業推進担当の村岡功 理事から、早稲田スポーツ復活への動きと「2020年東京オリ・パラへの取り組み」を伺った。
<世界の有力大学に目を向けても、スポーツやオリンピックを重視する姿勢が見て取れる。代表的なのは米・ハーバード大学。2000年に調査した際には、本学の1.5倍となる52名のオリンピックメダリストを輩出していることが分かっている>
と前置きしたうえで、以下の取り組みを具体的に説明。
〇2020年東京オリンピック・パラリンピック出場者目標数:32名以上
〇オリンピック・パラリンピック事業推進委員会及びプロジェクト室の設置
2016年10月1日〜
「WASEDA VISION150」や、文武両道を高いレベルで実践し、社会の様々な分野で活躍できる人材の育成を目指す「早稲田アスリートクラブ」と足並みをそろえて、母校の東京オリ・パラプロジェクトはすでに動き始めている。
続いて、早稲田大学競走部監督ある儀繋雄スポーツ科学学術院教授の軽妙な司会で母校のリオデジャネイロ オリンピアン2名とパラリンピアン1名がパネルディスカッション。リオで実感したこと東京オリ・パラへの抱負をそれぞれ率直に語った。
〇久保倉里美 さん 3大会連続出場
(400mハードル)(大学院スポーツ科学研究科修±1年 所属:新潟アルビレックスRC)
「リオを思い出すとまだ悔しさがある。4年後は何らかの形で陸上競技を盛り上げたい。」
「大学で学んだことで、練習が主体的になった。外国のアスリート比べて小柄だが、戦力的に勝負していきたい」
〇加藤修也 さん
(4× 400mリレー)(スポーツ科学部3年 所属:早稲田大学競走部)
「東京五輪は目指さなければいけない大会だと思っている」
「リオではいい成績が残せず、税金の無駄使いをしてしまって申し訳ないです!」
※儀先生のフォロー:加藤君は身長185cmで股下が1メートルもある。アスリートとしての形態的には金メダル級。
〇芦田 創 さん 銅メダル(パラリンピアン)
(4×100mリレー T42-T47)(政治経済学部2016年卒業 所属:トヨタ自動車)
「今回が初出場だったが、4年後の東京を見据えてリオで何が経験できるかを大事にした」
「5歳の時、右腕に原因不明のデスモイド腫瘍を発症し、10年間腫瘍切除手術と放射線治療を続けた。中学3年生の時、右腕切断の話が持ち上がった。運動はずっと禁じられていたが、<それなら全力で体を動かしたい>と陸上の400メートルを始めた。そしたら、ガンが治ったのです。病は気からということを体験した」
「障害スポーツという言葉を、生涯スポーツに変えていきたい。スポーツの多様性と捉えてほしい」
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現在、早稲田大学はすべての学部で『体験の言語化』指導に取り組んでいる。体験だけにとどまらず、人にどう伝えることができるかにポイント置くのだ。この日パネルディスカッションに参加した3人のアスリートは、それぞれ個性あふれる表現で、オリンピック・パラリンピック体験を見事に言語化していた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの後輩たちの活躍が、ますます楽しみである。
文:桜井郁子
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