現在の俳句人口は、数百万人といわれます。紙と鉛筆があれば誰でも作れるという簡便さのためか、また社会の高齢化に伴なうものか、近年ますます愛好者が増えています。とはいえ、いざ俳句を始めるとなると、適当な入門コースがないのが現状。そこで、我々の活動をご報告するとともに、初心者の皆様に「わかば句会」をご案内します。
現在「わかば句会」の会員は八人。うち五人が初めて俳句を作る、という方々です。毎月一回、句会を互選方式で続けています。指導者は、大田稲門会幹事の高橋治孝氏(昭和23年、専攻卒)。前月出題した兼題三句と自由題二句、それに当日出題の席題一句を加え、合計六句を投句します。
選句と披講のあと入選句を中心に合評しますが、初心者が多いので俳句の基本的な事柄まで分かりやすく話し合います。他の句会、あるいはカルチャーセンターなどでは、主宰の個人的な価値基準で「良い悪い」が決められてしまい、初心者は納得できないまま終わることが多いようです。その点、我が「わかば句会」は、皆でわいわいがやがや賑やかに検討するので、特に初心者には「分かりやすく居心地が良い」と好評です。
今年七月には創設一周年の記念親睦句会を開催。また句誌『若葉俳句』も創刊しました。二年目の今年は、秋に吟行を行う予定ですので、御興味のある方はどうぞ御参加下さい。
では、最後に我が「わかば句会」の一年間の入選句を私の独断で選んで、御披露させていただきます。句作のヒントにしていただければ、幸いです。
文:塩浜裕夫(わかば句会世話役、S35年政経卒)
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啓蟄や栄転辞令確と受く |
美濃焼のぐい呑み干して鮎の宿 |
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(高橋治孝) |
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定年の人みな似たる冬帽子 |
寄鍋に独り住まいの父思う |
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(小泉博) |
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月蒼くヒマラヤの峰なお青く |
マツタケがあるじの如し朝の市 |
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(張本昌弘) |
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福寿草黄のパラボラを日に掲げ |
梅雨寒やただ所在なく外眺む |
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(藤原正治) |
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落ちし子も受かりし子にも春一番 |
全身で乳を吸う子や青嵐 |
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(小掠香織) |
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風花のはらはらと舞い友逝きぬ |
湯の街に蛇の目並ぶや梅雨あがり |
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(服部輝雄) |
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鶯の声道連れに峠越え |
嫁せし子のうれしき知らせ桜餅 |
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(島田雅雄) |
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駅伝の去りて箱根の山眠る |
新しき句友佳きかな夏の暮 |
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(塩浜裕夫) |
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